【エサ】ショウジョウバエの概要。培養方法と使い方

【エサ】ショウジョウバエの概要。培養方法と使い方

エサに使用する「ショウジョウバエ」についての概要と、増やし方およびキープ方法、エサとして使用する上でのポイントなどを解説。

目次

エサ用ショウジョウバエのメリット

エサ用のトリニドショウジョウバエが入ったカップ

エサ用として飛ばないように品種改良されたショウジョウバエがあり、上陸したての子ガエルや小さな虫をこまめに食べるヤドクガエル・アデガエルに好まれて使われます。

メンテナンスフリーで増やしやすいことが一番のメリットで、エサとなる培地と足場を入れておくだけで勝手に増えてくれます。

トリニドショウジョウバエを食べるマダラヤドクガエル
トリニドショウジョウバエを食べるカエル

ピンヘッドのコオロギもメジャーな極小エサですが、「ピンヘッド」で売られていても実際にはSSサイズのコオロギを渡されることも多く、信頼できるお店が近くに無い場合は安定しません。

ショウジョウバエは基本的に自給自足のエサなので市場に影響せず供給でき、コストもピンヘッドコオロギ買い切りよりかは断然安くなるメリットがあります。

特にヤドクガエルにおいてはショウジョウバエで十分栄養を接種することが可能なので、ヤドクガエル飼育にはキーアイテムとも言えるでしょう。

ショウジョウバエの種類

キイロショウジョウバエとトリニドショウジョウバエ

日本でエサ用として使用されるショウジョウバエは「キイロショウジョウバエ」と「トリニドショウジョウバエ」の2種類があります。

用途や自分の育成環境にあったものを選びましょう。

キイロショウジョウバエ

キイロショウジョウバエと爪楊枝の頭

日本にもいる「キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)」を品種改良し、羽を無くして飛べなくしたものです(ウィングレス)。

大きいもので体長2mmぐらいと2種類のうち小さい方になります。

キイロは非常に簡単に増やしやすいのが特徴で、成虫は羽化してすぐに卵を産むことができ、親を入れて最短10日ぐらいでまた成虫が出てくるという驚きのサイクルスピード。

また日本にもいるハエということから低温耐性もあります。

特にラニトメヤ属などの非常に小さなヤドクガエルや、中~大型ヤドクガエルの子ガエルにはこちらが定番です。

  • 小さめのショウジョウバエ
  • サイクルは12日間
  • 増やすのが非常に簡単で、培養はまず失敗しない
  • 羽なし(ウィングレス)

トリニドショウジョウバエ

トリニドショウジョウバエと爪楊枝の頭

「カスリショウジョウバエ(Drosophila hydei)」を品種改良し、羽を動かせなくして飛べなくしたものがトリニドショウジョウバエです。(フライレス)

体長3mmとサイズが大きく、上陸したての子ガエルや中型~大型のヤドクガエルなどに使用できます。よってかなり幅広くエサとして適したサイズなのがメリットです。

ただしキイロと比べた欠点として繁殖難易度に壁があること。

羽化した新成虫が卵を産むまでの「成熟期間」が5~7日ほどあり、この間にエサ培地がカビたり親がダニに襲われてしまうと卵を産みません。よってトリニドは部屋がカビっぽかったりダニが多い環境だと培養が困難になります。
(キイロは成熟期間が無くすぐに卵を産むので失敗することがない)

新成虫を入れて次の新成虫がとれるまでのライフサイクルは21日ほど。そのほか低温だと死滅してしまうので何らかの加温が必要です。

  • 大きめのショウジョウバエ
  • サイクルは21日間
  • 成熟期間があり、その間に成虫・培地がダメになると培養に失敗する
  • 低温に弱く、大体20℃以上の温度が必要

ショウジョウバエの培養方法

レパシースーパーフライとプラカップ

最も定番のハエ培地(エサ)は「レパシー スーパーフライ」でありますので、これを使ってハエの培養方法を解説していきます。

培地を容器に入れ、お湯で混ぜる

培地をカップなどの容器に入れ、混ぜ棒などで沸騰したお湯と混ぜます。

ショウジョウバエの培地の作り方その1

このカップなら付属スプーンで2杯ぐらいです。

ショウジョウバエの培地の作り方その2

沸騰させたお湯を入れます。

商品によっては「水でOK」と表記されているものがありますが、熱湯を入れた方がカビにくいのでトリニドなら熱湯で作ることをオススメします。(キイロはカビる前に幼虫が出てくるので水でも可)

ショウジョウバエの培地の作り方その3

混ぜ棒などで全体を練ります。

お湯の量は全部混ぜきった時に容器を横にしてギリギリ傾かない程度で、目安としてはポテトサラダぐらいの練り感です。特に少ないと水切れですぐ死ぬので、お湯を追加して調節して下さい。

足場・ウッドパッキンを入れる

ポテトサラダぐらいの練り感になりましたら、足場となるウッドパッキンを入れます。

ウッドパッキンが詰められたショウジョウバエの培養ケース

ウッドパッキンは多すぎるとハエの身動きがとれなくなって死にますので、あまり詰めすぎないようにだけすれば一旦OKです。写真のは多めに入れてますが、作り始めはハエもウッドパッキンも少なめが調節しやすいでしょう。

ハエ(幼虫)の数に対してウッドパッキンの密度が少ないと、幼虫が蛹になる際にかなり上側に上がってきてフタ(キッチンペーパー)を食い破ります。なのでその兆候が見られましたらウッドパッキンの量を増やすようにして下さい。

冷まして結露をとる

お湯で作成した場合は数時間~半日放置して常温に冷まします。

この時結露が出てきていますのでウッドパッキンをゆすって結露をとって下さい。そのままにしておくと結露にハエがくっついて死んでしまいます。

ハエの培地に出てきた結露
これはウッドパッキンをゆすって拭き取っておく

種親の投入

種親となるハエを入れ、キッチンペーパーを挟んでフタをします。

作成したトリニドショウジョウバエの培養カップ

作業中にハエが逃げそうになったら、容器をトントンと軽く地面にたたきつけて落としましょう。余分なキッチンペーパーはカットして日付を記入すれば作成完了です。

ハエ培養カップのフタ
フタはあらかじめ縁以外ある程度カットしておくと、増えても活性が下がらない
新しく作成したハエの培養カップ

キイロショウジョウバエなら12日後、トリニドショウジョウバエなら21日後ほどで新成虫が出てきます。

ショウジョウバエの与え方

カルシウムパウダーとまぶし用のカップ

ショウジョウバエは、カルシウムが不足しているのでコオロギ同様カルシウムパウダーをまぶす必要があります。(ダスティング)

大きめの容器にハエを移してカルシウムを振り、容器をくるくる回しまんべんなくまぶして下さい。

カルシウムの量はショウジョウバエが完全に白くなる程度が目安です。多いと容器底に沢山カルシウムが残ってもったいなく、少ないとハエが完全に白くなりません。

特にヤドクガエルは白いでないと嗜好性がガタ落ちしますので、そういう意味でもダスティングは必須。そのまま与えても食べてくれませんので必ずカルシウムをダスティングしましょう。

トリニドショウジョウバエを狙うアイゾメヤドクガエル”アズレウス”

エサとして気をつけるポイント

カロリーが少ない

ヤドクガエル以外の子ガエルに対し、単に「ピンヘッドコオロギ」の代用で与えると明確に痩せて死にますので注意してください。

というのもショウジョウバエは、コオロギと比べると栄養価・カロリーがかなり低いからです。

ヨーロッパイエコオロギ
実はカロリーが優秀なコオロギ

コロオギなら1日1回与えていれば大丈夫ですが、ショウジョウバエの場合コオロギと同じカロリーを得るには1日に何度も給餌する必要があります。

例外としてヤドクガエルは1日1回のショウジョウバエでも基本大丈夫です。これは一般的なカエルがクモ・バッタ等を「ガブゥ!」と大口で食べるのに対し、ヤドクガエルはかなり小さな虫を「パクパクパクパク・・・」と何度も食う食性だからです。
(むしろヤドクガエルにピンヘッドコオロギを毎日与えると、ブクブクと太ってしまう)

羽が吐き戻ししやすい

トリニドショウジョウバエの場合は羽がありますが、慣れていないカエルは羽を嫌がって吐き戻しをする場合があります。(特にヤドクガエルのベビ~ヤング)

アイゾメヤドクガエル”オイヤポッキ”の子ガエル
子供のアイゾメヤドクガエルなど繊細なカエルは注意すべし

うつ病になりやすいカエルだと吐き戻してそのまま拒食に入ってしまい、次第に痩せ死んでしまうことも少なくありません。このため、初めてトリニドショウジョウバエを使う際はしばらく観察が必要です

必要に応じてピンヘッドコオロギかキイロショウジョウバエを用意しておくのがオススメ。

もちろん最初からトリニドショウジョウバエに慣れている個体であれば心配無用です。

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