イモリのための苔テラリウム制作ノート。材料や作り方をレクチャー

イモリは成長ステージや種類により条件を満たせば、水場がない飼育ケージでも飼育が可能です。

特に湿度を高く保つ苔とは生育条件が合うので、苔テラリウムを作って飼育するとオシャレに飼育を楽しむことができます。

目次

完成したテラリウムのフォトギャラリー

シリケンイモリの苔テラリウム
シリケンイモリの苔テラリウムに住むイモリ
シリケンイモリの苔テラリウムに生える草
シリケンイモリの苔テラリウムを設置している様子
スペック
ケージ GEX グラステラリウム ナノキューブ
(約幅21.5×奥行21.5×高さ22.7cm)
照明 コトブキ フラットLED
底床材 ハイドロコーン、SUDO フロッグソイル、造形君
植栽植物 タマシダ ‘ダッフィー’、フィロデンドロン・オキシカルジウム、アラハシラガゴケ
水やり 霧吹き1日2回
生体 アマミシリケンイモリ

イモリの陸上飼育について

子供のオキナワシリケンイモリ
陸上生活をする子どものイモリ(シリケンイモリ)

「イモリ」と聞くとずっと水の中に棲んでいる生き物のイメージがありますが、実はイモリが水に入るのは繁殖のため。

卵から産まれた赤ちゃんイモリは幼生(オタマジャクシ)形態後は陸上で生活し、3年~5年は水場に入らず陸上生活を行います

ただし陸上とは言っても乾燥した陸地ではなく、倒木の裏や落ち葉の下などしっとり湿った場所が生息域。苔が生育する環境も似たような環境であるため、苔テラリウムの環境はイモリにとっても相性が良いのです。

野生のアラハシラガゴケ
イモリの生息場所近くの苔。周辺には子イモリがいるハズ。

制作手順

ケージの選定

グラステラリウム ナノキューブ
グラステラリウム ナノキューブ

綺麗なレイアウトを目指す場合、曇ってしまうプラスチック製のケージよりガラス製のケージが適します。

ガラス製ケージは色々ありますが、今回は最も有名で定番ケージである「グラステラリウム」の「ナノキューブ」をチョイスしました。

グラステラリウムシリーズは鑑賞に向いたガラス製ながら換気口付きで、ドアが開いて横から霧吹きや植物のカットが簡単というテラリウムには非常に最適なケージとなっています。

一番底に軽石を敷く

グラステラリウム ナノキューブにハイドロコーンを入れている様子

まずは水槽に底石(鉢底石)をひきます。

底石を敷く理由は底に長期間水が溜まり気味になると腐敗することがあり、それの防止です。水が貯まるエリアを上げ底をする感じですね。

今回底石としては「ハイドロコーン 中粒」を使用しました。粒が均一で丸く高品質なのが特徴で、小型のテラリウムには最適です。

鉢底石は入れる前に水で軽く洗って粉を落としておきましょう。

敷く厚さですが底が見えなくなるくらい、具体的には最低1cmぐらい敷けば十分です。それ以上入れてもよいのですが、入れすぎるとこのあと土を入れるスペースが無くなるのでほどほどに。

鉢底ネットを敷く

鉢底石の次は、大きめの鉢底ネットを容器の大きさにカットして、ハイドロコーンの上にピッタリ敷きます。

ハイドロコーンの上に敷いた鉢底ネット

鉢底ネットは無くても良いのですが、次にいれる土(ソイル)が鉢底石になるだけ入り込まないようにしたいのと、あとは植物を入れ替えを想定しての設置です。

特にテラリウムに不慣れだと植える植物の繁茂具合が掴みにくく、伸び方やデカさが想定を上回る育ち方をして、植物を変更する方も多いかと思います。

この時鉢底ネットをしてないと植物を抜く際、根が鉢底石をしっかり掴んでおりますので底ごと抜けてしまいます。鉢底ネットを敷いていけばある程度抜けを抑えられますし、土とのセパレートの役割も果たしますので、とりあえず敷いておくのがオススメです

土(ソイル)を敷く

フロッグソイルとグラステラリウムナノキューブ

用土としては水草育成用の「ソイル」を使用します。

園芸用の土でも構いませんが、ソイルは土を粒状にして適度に固めたもので、崩れにくく扱いやすいのがメリット。栄養も混ぜ込まれていますので、テラリウム作りにはマストアイテムです。

グラステラリウム ナノキューブに敷いたソイル
これぐらいで十分

この後「造形君」という土も入れますので、上記のように程々に。

ソイルは各社から販売されていますが、粒サイズが「ノーマル」サイズのものを選びさえすれば何でも良いです。※粒サイズがパウダー以下だと鉢底ネットの網目を通ってしまうため

今回はカエル用に売られている「フロッグソイル」を使用しました。

造形君と素材で地形を作る

ソイルの上から水と練った「造形君」と、流木や石などの素材を使って地形を作っていきます。

造形君はバケツなどに入れ水と混ぜて適度な柔らかさにしてから使います。粉っぽくならない程度に加水しますが、水を入れすぎた場合は手で握り絞って調整すればOKです。

ちょうど良い練り感になりましたら、ケージに広げていきましょう。

グラステラリウム ナノキューブに造形剤を塗りつけた様子

今回はイモリが入る巣穴の素材として、熱帯魚用の流木を用意しました。

造形君およびソイルに埋めつつ、造形君でドーム状になるよう盛っていきます。

イモリの苔テラリウムの作成、その1
イモリの苔テラリウムの作成、その2

こんな感じで配置することにしました。

最後に巣穴部分をくり抜いて、壁や地面などを指で固めて補強して巣穴の完成です。

イモリの苔テラリウムの作成、その4
巣穴部分を掘って、造形君で固めます
イモリの苔テラリウムの作成、その3
背面にも造形君を足して骨組み完成

今回は良い形の流木1つで作成しましたが、複数の流木を組み合わせてもOKです。造形君があれば流木の組み合わせも簡単で自然っぽくできます。

植物の植栽

地形ができましたら植物を植えていきましょう。

植物側の土は大体落としておき、テラリウム側は植える用の穴を掘ってそこにはめ込むようにします。

植物にもよりますが、購入したPOTがでかい場合は株を分けて小さくしてから植えると良いです。

特に観葉植物として売られているのは比較的雑に扱えれるものが多いので、何を植えたらいいか分からない最初のうちは、観葉植物のミニPOTからチョイスするのが良いかと思います。

イモリの苔テラリウムの作成、その7
植栽完了

今回使用した植物は「タマシダ ‘ダッフィー’」と「フィロデンドロン・オキシカルジウム」です。

苔の敷き詰め

植物を植え終わりましたら、あとは「アラハシラガゴケ」もしくは「ホソバオキナゴケ」を適当に敷き詰めて完成です。

これらの苔は踏みに強くギュッと押し込んでも大丈夫ですので、どんどん敷き詰めていきましょう。

ライトの設置

最後に植物育成のためのライトを設置して完成です。

シリケンイモリの苔テラリウム

今回使用したのはコトブキの「フラットLED」です。

室内照明では光量不足枯れますので、植物の育成に効果があるライトを必ず設置して下さい。選び方については以下の記事をご参照下さいませ。

1つ設置のポイントとしては、上置き型のライトを設置すると製品にはよりますがライト本体の熱で温度が上がる傾向があるため、少しリフトアップして使用すると良いでしょう。

小さな温度計も付けておいて温度も見れるようにすればなお良しです。

迎えるイモリの選定ポイント

アマミシリケンイモリのCB個体を入手
シリケンイモリのCB個体

陸上生活をするイモリは、エキゾチックペット専門ショップなどで入手することが可能です。

特に「シリケンイモリ」「マダライモリ」あたりは、飼育下で繁殖させた若いCB個体が多く流通しているので、一番入手しやすいかと思います。

性成熟後かなり水性傾向が強くなる「アカハライモリ」と比べて、それらは繁殖時のみ水場に入るので、大人になってからでもテラリウム内で終生飼育させやすいのも良いですね。

最初はプラケースなどで飼育し、ピンセットから給餌できるよう慣らしておけば完璧かと思います。

一番注意して欲しいのが、ホームセンターなどで数百円で売られているイモリは繁殖期に池にいるのを大量捕獲されたものでありますため、池を模した大きな水場が必要です。この点は必ず注意して下さい。

メンテナンス

テラリウムと霧吹き

植物とイモリのためには定期的な霧吹きが必要です。

1日1回以上、霧吹きで水分を吹きつけましょう。植物を植えているところは追加でピンポイントで霧吹きして多めに水分を与えるとなお良いです。

量は適当なのですが、少ないと造形君がパサパサして植物の葉が水不足で垂れ下がってきます。逆に与えすぎると底の鉢底石部分にどんどん水が貯まって溢れてしまいます。

ようはケージに貯まる水の量と植物の加減を見ながら調節していく感じですね。

特に苔は乾燥すると白っぽく変化してしまうので結構シビアです。苔の詳しい管理方法は以下記事をご参考下さいませ。

よくある質問

フンなどの掃除はどうすれば良いですか?

何もしません。

イモリにおける苔テラリウム内での糞尿の処理は、植物と土・微生物に浄化を任せます。過密でもない限りは掃除することはありません。(多少ガラス面を拭いたりはします)

このテラリウムは2018年に作成したものですが、写真に写ってるシリケンイモリは今なお(2024年)同じケージ・同じ用土で元気に生きています。

強いて言えば植物の浄化・光合成にはライトが必須なのであるのと、植栽植物に「フィロデンドロン」「ポトス」「フィカス」などのモリモリ育つ植物を植栽するのがポイントかと思います。

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この記事へのコメント

  • 1通りすがりのアクア2019年8月11日 12:29

    こんにちは、1年弱前ですが返信できるのであれば返信していただきたいです。
    今現在ここに書いてあるように苔テラリウムを作ってアカハライモリを飼いたいと思っています。そこで質問なのですが、以前飼っていた際は餌に「イモリの主食」をあげていたのですが、苔テラリウムではどのように餌やりをしていますか?

  • 2Jun Matsubara(おたま商会)2019年8月13日 11:44

    >>1

    水に少し浸したレプトミン(亀のエサ)をピンセット経由で与えています。

  • 3通りすがりのアクア2019年11月4日 11:52

    こんにちは!
    最近、マダライモリとクロカタスツエイモリを飼い始めて苔テラリウムに挑戦したいなと
    思っていた所でしたので、すごく参考になりました。
    気になる点が3点ほどあるのですが

    1-テラリウム内の掃除ってどうすれば良いのでしょうか?水棲飼育なら全部出して水槽ごと洗ってしまえば良いなと思うのですが、さすがにそうは行きませんよね?

    2-マダラはピンセットから餌を食べてくれますがクロカタスはまだピンセットから食べてくれないのですがそう言う場合は餌ばら撒きでも大丈夫でしょうか?
    その際にもやはり掃除は?と気になってしまうのですが。

    3-水場が無くても脱皮って上手くできるのでしょうか?

    お忙しい所申し訳ございませんがご教授頂けると幸いです。

  • 4Jun Matsubara(おたま商会)2019年11月8日 17:33

    >>3

    >1-テラリウム内の掃除ってどうすれば良いのでしょうか?

    放置です。苔と植物と土に浄化を任せています。

    > クロカタスはまだピンセットから食べてくれないのですがそう言う場合は餌ばら撒きでも大丈夫でしょうか?

    活餌のバラマキですよね?良いと思います。
    ただエサ食ってるか増減が分からないのでその点だけは飼育が難しくなります。
    (コオロギの後ろ足をもいでエサ皿にまくのが良いかもしれません)
    個人的にはテラリウムに収容してるのは全部手渡しで食べる子だけにしてしています。

    > 水場が無くても脱皮って上手くできるのでしょうか?
    コレに関しては意識したことは無いですね・・。
    適度に霧吹きしているのと流木が入っているので自分で良いところを見つけてるのでは?と推測します。
    気にしたことはないのですがこの記事で紹介した子は現在1年ぐらい同じケースで飼っておりますが特に問題はおきていません。

    以上、参考までに~(=゚ω゚)ノ

  • 5通りすがりのアクア2021年3月19日 20:33

    >>1

    マダライモリやシリケンは水無しでいけてもアカハラは水場いると思います。なくても死なないだろうけどベストではない

  • 62023年8月29日 10:24

    アカハライモリしか飼ってないT-T

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