アカメアマガエルのためのテラリウム制作ノート
アカメアマガエル用にテラリウムを制作したので、その制作手順および作成方法を紹介します。
完成したテラリウムのフォトギャラリー
樹上性のカエルということで立体的な配置と、左前面に餌虫タッパーを置くことを考えてレイアウト。
いつもは背面・側面も植物を生やしたりして自然感を出すのですが、アカメアマガエルは流木や小さな葉っぱよりもガラス面にピタッとくっつく傾向がありますため、ガラス面そのままにレイアウトしました。
スペック | |
---|---|
ケージ | アクアテイラーズ PCP 3045 (約幅30×奥行30×高さ45cm) |
照明 | テトラ パワーLEDプレミアム |
底床材 | 園芸用軽石、プラチナソイル、造形君 |
植栽植物 | ネオレゲリア ‘ファイヤーボール’、フリーセア・オスピナエ、アスペルニウム・アンティキューム、フィロデンドロン |
水やり | フォレスタによる自動ミスティング(1日夜2回) | 生体 | アカメアマガエル✕3 |
ケージの選定・加工
アクアテイラーズの「PCP 3045」をチョイスしました。
樹上性のカエル(ツリーフロッグ)は湿度がずっと保たれるよりも、ある程度乾燥する環境でないと病気になりやすいため、長期飼育のためには通気性が非常に重要です。
ツリーフロッグ愛好家にはケージGEXの「グラステラリウム」がメジャーですが、今回は自動ミスティング+排水ケージでメンテンナンスフリーを実現するため、「通気口付き」「排水ドレン付き」「ミスト用穴付き」を備えた「PCP」ケージを選択しました。
通気口の拡張
PCPケージは小さなヤドクガエルのため、通気のメッシュ穴が1mmと非常に小さいです。(ショウジョウバエが逃げない設計のため)
ツリーフロッグにとっては穴が小さく通気性が悪いので、電動ドリル+アルミ対応ドリルビット(2mm)で加工し、穴を2mmに拡張しておきます。
排水ドレンに鉢底ネットを取り付け
次に排水ドレンから軽石・土が漏れないよう鉢底ネットでカバーします。
ハサミで適当な大きさにカットして、両面テープやホットボンド、シリコンなどで固定すればOKです。
制作手順
ベースの作成
下から順に「軽石」→「鉢底ネット」→「ソイル」という手順でベースを作ります。
今回は軽石としては園芸用のもの、ソイルはJUNの「プラチナソイル ノーマル粒」を使用しました。
レイアウトの構想決め
今回は良い形の流木(右側の)を見つけたので、それを元にレイアウトを考える方式です。
柄の長い杖のような流木を木に見立て、ネオレゲリア類を木に生える葉っぱに見立て、レイアウトを作っていこうと思います。
ガラスへの流木接着
レイアウト左側にはカエルが移動できるよう足場を作ることにしました。
長い棒状の木をノコギリでカット。そしてコーキングガンにセットしたシリコンシーラントでガラスに接着します。(セメダインの8060 クリア)
シリコンシーラントは固まるまで1日かかるので、流木などを使って下から支えて固定し乾かして下さい。
丸一日経てば固まるので、それを足場に上にも流木を配置してこれもシリコンで固定します。
これでレイアウトの骨組みは完了です。
造形君で植物の固定
ピクタの造形君を使って上側に植える植物や、組み合わせた流木の継ぎ目などを固定します。
こんな感じですね。この時、壁についたシリコンも造形君で覆ってシリコンを隠します。
このタイミングで地面に植える植物も配置しておきましょう。(アスプレニウム、フィロデンドロン)
地面を造形君でカバー
カエルの中にはソイルの粒を誤飲して死んでしまうのがいるため、地面を造形君で全部カバーします。
間違ってソイルを口に含んでも大丈夫なカエルも多いのですが、基本的にはカバーしておいたほうが無難です。造形君はトータル3Lほど使用しました。
なお全部覆うと水はけは悪くなるので、ケージに対してやや控えめにソイル・軽石・造形君を盛るようにして下さい。ケージ下部ガラスに対し、ギリギリまで底床を盛ると水が通気口から溢れてしまうからです。
最後に葉っぱについた造形君は霧吹き・噴霧器で水を吹きかけて落とします。
こんな感じでレイアウト完成です!
ミスティング装置の取り付け
アカメアマガエルが活動するのは夜中なので、夜間に自動的に霧吹きされるようミスティング装置を設置します。
今回設置したのはZERO PLANTSの「フォレスタ」。元々使っているのを分岐します。
ノズルをケージに設置し、フォレスタのチューブを分岐してノズルに繋ぎます。
こんな感じで夜中に2~4分✕数回噴射されます。彼らが活動する真夜中には現実的に霧吹きできないと思うので、何らかの装置を用いて散水は自動化するのが良いです。
ツリーフロッグはウンチがブリブリ壁に付きますが、フォレスタなどのしっかりしたミスティングであれば多少洗い流せるので、そういう面からもメリットがありますね。
照明のセット
最後に植物育成のためのライトを設置します。
使用したのはテトラの「パワーLEDプレミアム」。今回は赤系の植物である「ネオレゲリア ‘ファイヤーボール’」を植栽したので、ちゃんと赤くできるよう植物育成に向いた光量の多いライトをチョイスしました。
各種植物が育ち、ファイアボールは赤色が強くなっている。
このようにしっかり育成が出来ています。
赤系植物を植栽しない場合などの低ランク製品など、ライトの詳しい選び方については以下記事をご覧くださいませ。
ペットカメラの設置
アカメアマガエルは完全夜行性なので、夜間観察できるようペットカメラを設置するのがオススメ。本ケージには「TP-Link C110」を設置しました。
このように長い木の棒をカットし、カメラについてる壁掛け穴でセットしています。
アカメアマガエルは適切に飼育していると、人間が見える明るい間はガッツリ睡眠して全く動かないカエルです。なので本種の魅力を楽しむためにはペットカメラを設置して観察するのが良いでしょう。
振り返りと反省ポイント
アカメアマガエル、植物を用意してもガラス面の方を好んで休むんですよね。なのでテラリウムを作る上では、むしろガラス面を大きく残したほうが良いと考えていましたが想定通りでした。(本来はバカでかい葉っぱの裏にいる蛙です)
ガラス面を装飾しなかったのは自動ミスティングでガラス面についたフンも洗い流すことも期待していて、目論見通りそれなりに地面にポロポロ落としてくれるので良い感じ。(というかケージの通気性が良いから乾いて落ちるのとコンボ)
どんどん噴霧して洗浄できるよう排水ドレンが付いたケージを選定しましたが、これはバッチリでしたね。
その他にも樹上性フロッグであるため動き回れるよう立体的に流木を配置したり、地面ではなく木に定着するネオレゲリア・フリーセアをチョイスしたのも良い感じになったかと思います。
アカメアマガエルが病気にならないよう地面を除きカラッカラッに乾いた状態になっていますが、自動ミスティングのみでネオレゲリア・フリーセアはちゃんと育ってくれて満足。今後もこういう浮かせた状態で使ってみたいですね。
特にそれらはアカメアマガエルと同じ南米原産なので、地理的にも相性が良いです。
いわゆるタンクブロメリアと呼ばれる植物は原種も含め様々なバリエーションが売られているので、その辺を集めて植栽するのも面白いでしょう。
改善ポイント
右前面にアスペルニウム、左側にはフリーセアを植えましたが、これは不要だったかもしれません。デカくなって餌場へのアクセスを悪くしているのでカエル的にはちょっとイマイチ。
アスペルニウムは植える前からいずれデカくなって持て余すだろうなぁと思っていましたが、半年ぐらいでだいぶ巨大化。一番の糞尿浄化植物になっていますが、左奥のフィロデンドロンが育てば撤去するか、小ぶりに育って調節がしやすい「セラギネラ・アポダ(クッションモス)」とかに植え替えてみようかと考えています。
フリーセアにいたっては宙に浮いているので、糞尿浄化効果もなく単に見た目が良くなるだけです。撤去しても良いでしょう。
以上、参考になりましたら幸いです。
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