テラリウムのライト基礎。選ぶポイントとオススメ製品はどれ?

テラリウム・パルダリウムにおけるライト(照明)の選び方とオススメ製品を解説。

育成できるライトの見分け方、オススメ製品と明るさの目安、点灯時間の考え方などを紹介します。

目次

室内光では育たない

コケとオキシカルジウムを植えたイモリ向けテラリウム

植物を植えたテラリウムでは、植物・苔育成のためのライトを設置することが必要です。

室内のライトは一見明るいように見えますが自然光に比べてはるかに弱く室内照明だけで光合成をまかなおうとすると少しずつ腐って枯れます

室内ライトは一般的に「300ルクス」程度でありますが、野外は日陰ですら「3,000~6,000ルクス」程度であり、暗いところに生える苔ですら「1,000ルクス」程度とだいぶ光量不足です。

更に室内照明は、光合成に使われる光の成分をあまり含んでいないことも問題です。

室内ライトは無駄なく人間の目に明るいように作られているため、植物にとっては明るさの割には育たないライトであり、この点からいっても植物育成に適したライトを設置する必要があるわけです。

ライトを選ぶポイント1:光の成分

植物の光合成には主に「青」と「赤」の光が使用されるので、それらの成分を十分含んだライトであることが必須です。単に肉眼の明るさだけで選ぶと「明るいけどなんか枯れる」といったことになりかねません。

実は太陽からの光は単純な白色ではなく、青・緑・黄・赤など光が合わさることにより白色に見えています。

雲と海を繋ぐ虹の無料写真素材
水によって太陽光が分離されたのが虹

植物は太陽光のうち青と赤の光を多く吸収して残りの光は反射するため、私達の目には葉っぱが緑色に見えているワケです。

スペクトル

赤と青の光が含まれるかは「スペクトル」という光の成分をグラフ化したものを確認します。

太陽光のスペクトルイメージ

上記は太陽光のスペクトルイメージですが、青と赤の光がまんべんなくあるということが何となく分かります。基本的にはこれに近い光を出すライトほど育成に向いているということです。

さて以下は一般的な室内用LED照明のスペクトル図をイメージにしたものですが・・・。

室内LEDライトのスペクトルイメージ

このように青の波形が飛び抜けて突出し、次に緑・黄色。そして赤が少なめなので、植物を育成するには向いていないことがなんとなく分かりますね。

スペクトル図は植物育成に自信がある製品だと製品箱などに記載されていますので、それを確認して植物の育成に向いてるかをチェックするのが一番確実です。

テトラパワーLEDプレミアム40、スペクトル表記
ちなみに植物(水草)育成に評価が高い「テトラ パワーLEDプレミアム」はこんな感じ。

演色性

とはいえスペクトル図は植物育成にこだわったライトでしか表記されない傾向があり、現実的には安価なライトでは表記されないです。

次に植物育成に効果的な光であるかを確認する項目として「演色性(Ra)」があります。

真夏日の日差しと青空の無料写真素材

演色性は太陽の光にどれだけ近いかを示した数値であり、数値が高ければ高いほど太陽光に近い数値です。高ければそれだけ植物育成に向いてるかが分かるため数値で良し悪しを判別することが可能です。

1つの参考ですがRa84以上あれば植物育成に向いていると判断でき、製品によってはRa95を超える良質な光を出すものもあります。

フラットLED HLの製品箱に記載されている演色性
スペクトル図はなくとも演色性は書かれている製品も多い。
(コトブキ フラットLED HL 900)

ただし植物工場で使われているような青と赤の光をメインにした紫色のライトなど、太陽光から逸脱しているのに育つライトもありますので「演色性悪い=育たない」とは限らないことは覚えておきましょう。

ライトを選ぶポイント2:明るさ

フィロデンドロン・ミカンス(philodendron micans)の沢山ある葉っぱ

もちろんライトの光成分が良くてもそもそもの照射量が少なく、暗かったら意味がありません。

1つの目安として、苔や半陰性と呼ばれる植物を育成するなら低くて「1,000~2,000lx」ぐらいで、およそ「3,000~5,000lx」ぐらいあれば苔・観葉植物・熱帯植物なら幅広く綺麗に育ちます。

しかしながらテラリウムに必要な光量というのは、ケージサイズ・植える植物・光の成分によって大きく変わってくるため一概には言えないというのが実情

特にライトは照射する距離によって大幅に明るさが変わるためパッケージにこれが表記されることはなく、同じライトであってもケージサイズにより育つ・育ちにくいが出てきます。

次項でテラリウムに向いた照明をいくつか紹介しますので、それを踏まえつつ自分のケージサイズや用途にあったものを選んでみるのと良いでしょう。

具体的なオススメ製品

実際にテラリウムで使用するオススメ製品をいくつか上げていきます。

コトブキ フラットLED HL

フラットLED HL 900

コトブキの「フラットLED HL」は最もテラリウムでスタンダードなライトです。

演色性は30cmモデルで「Ra87」とそれなりに高い上ある程度の光量を備えていますので、テラリウムに使用される幅広い植物に使用可能です。

例えば20cmのナノキューブだと(旧型で)地面5,000lxと余裕のある明るさで、植物がグングン育ちます。迷った場合はこの製品がオススメです。

高さ45cmのケージでも苔や「ポトス」「フィカス」などのかなり低光量で育つ植物であればこれでOKです。

ただし高さ45cmケージでは植物によっては間延びして見た目が悪くなっちゃうので、それが気になるなら後述するテトラの「パワーLEDプレミアム」がオススメです。

コトブキ フラットLED SS 2032

寿工芸 コトブキ 水槽 フラットLED SS2032 ブラック

「フラットLED SS 2032」は先程紹介したフラットLED HLの廉価版となる「SS」モデルです。

フラットLEDは紹介した通り20cm水槽だと5,000ルーメンありますので、「苔」「フィカス」や「ポトス」などの低光量でも綺麗に育つ植物にはもう1ランク下げても育ちます。この点SSなら光量が丁度良く、価格が安くなりますのでオススメです。

特にSSシリーズは先述したHLシリーズにはない20cmモデルが存在するのがオススメポイントで、「グラステラリウム ナノ キューブ」など、横幅が20cmぐらいの小さなテラリウムには丁度良いかと思います。

光量は一回り抑えめになっており演色性も書いていないので、20cmより大きなケージを使用する場合は先述したHLシリーズの方が安心でしょう。

テトラ パワーLEDプレミアム

テトラ パワーLEDプレミアム 40

中型以上のケージで植物を綺麗に育成する場合は、テトラの「パワーLEDプレミアム」がオススメです。

演色性はRa94と非常に高く出力も強いので「高さ45cmのケージ」かつ「植物をこん盛り育てたい」時にはこの製品を使うことが多いですね。

「フラットLED HL」でも良いのですが植物によっては間延びしてスカスカになり、景観が悪くなることがあります。その点パワーLEDプレミアムは高さ45cmのケージでも、床で2,000lx確保されるので間延びせずに育成しやすいです。(上側なら8000lxを超える)

ハイグロフィラ・ピンナティフィダをメインに使用したパルダリウム
葉の密度が高いレイアウトが作成できる

ただ出力が強いせいでライト本体が結構発熱するため、使用する場合はリフトアップなどで熱を逃すよう工夫しないとケージ内が加温されてしまう点には注意して下さい。

ライト自体の性能も良いのですが「24時間タイマー内蔵」「防水性能IPX7」という他のライトには無い強みもあり、そういった意味でもかなり高性能なライトと言えるでしょう。

GEX クリアLED リーフグロー

ジェックス クリアLED リーフグロー アクアリウム用 水草・植物を育てるライト

最後にオススメするのがGEXの「クリアLED リーフグロー」です。

先述した3つはケージの上に設置するタイプですがこちらは地面に置くスタンドタイプのLEDなので、上置きLEDが設置できない小さなテラリウムや小さいプラケを複数並べる場合にオススメです。(この製品は高さ30cmのケージに対応してるので結構大きいです)

フラットLED HLの30cmモデルが「7W」で、こちらは「4W」と60%程度のパワーを持ちますので、小さなテラリウムならそれなりにカバーできるかと思います。(演色性が書いてないため光自体もやや劣るかと)

よくある質問

照射時間はどれぐらいが良いですか?

10~12時間ぐらいです。

朝焼けに染まる川霧(蒸気霧)の無料写真素材

熱帯地域で太陽が出ている時間は、5:30~18:30ぐらい。前後1時間はそこまで明るくないことを考えると11時間ぐらい照射するのが良いかと思います。

照射時間が少ないと植物はそれだけ光合成しませんから、私は気持ち多めの12時間で設定することが多いです。
(ちなみに日本の夏の方が太陽が長く、4:30~19:00と15時間もあります)

なお照射時間は規則正しい時間に点灯・消灯をすることも重要ですので、24時間タイマーやスマートプラグを利用して規則正しい時間に点灯・消灯を行って下さい。
(不規則だとライトをつけてるのに成長しないといったことが起こります。効率悪し)

ちなみに理想的には点灯時は少しずつ明るくしていって、消灯時は少しずつ暗くするのが良いのですが、これができるライトはコトブキの「レイマックス」など一部のライトだけですのであまり行われません。

紫外線は必要ないのですか?

ごく一部のカエルを除き、不要です。

ジャクソンカメレオンのメス

カメやトカゲなどは硬い骨の生成のため紫外線を含むUVライトをあてることが必要不可欠ですが、基本的にはカエルには必要ありません

ソバージュネコメガエルなど紫外線があるべきとされるカエルもありますが、ほとんどのカエルは紫外線なくとも寿命まで飼育することが可能です。

スペクトルも演色性も書いてないライトは、育つかどうかどう判断すれば良いですか?

使ってみての運ですね。

スペクトルも演色性も書いてないライトはどのような光の成分かは予想できないため、使ってみないことには分からないことが多いです。

とはいえ「演色性が書いてない=植物育成にさほど力を入れてない」ので質の悪い光を照射すること少なくないかと思います。

個人的には苔や「ポトス」「フィカス」などの雑な光環境でも育つ植物はライトはスペクトル・演色性はさほど気にしませんが、様々な植物を植えたい場合はライトをしっかり選定します。
やはり植物は光合成が成長の本質でありますので光は最も重要な要素

あとその製品が人気製品であればインターネットでレビューが多く見つかりますので、水草・植物を育成した方のレビューを探して参考にしてみるのも良いかと思います。

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この記事へのコメント

  • 1orionまま2019年8月15日 21:28

     こんにちは
     ツノガエル用に15cmキューブで苔テラリウムを作成しました。その上にGEX LEDライトを置いていますが、しばらくするとキューブの中がムンムンと蒸しているのか、水滴が内側のガラスに点々と。。。
     苔やツノガエル(こんな時には土に潜ってしまいますが)LEDライトが強すぎるのかなと思ったり、キューブの通気性が良く無いのかなと思ったり。初心者なので良く分かりません。
     このままで良いのか、少しライトから離した方が良いのか(その場合上側のスペースがあまり無いので、棚を一段のこぎりで切ろうと思っています)お教えいただければ幸甚です。
     よろしくお願いいたします。

  • 2Jun Matsubara(おたま商会)2019年8月16日 13:24

    >>1 orionまま

    > ライトを置いていますが、しばらくするとキューブの中がムンムンと蒸しているのか、水滴が内側のガラスに点々と。。。

    「高い湿度自体には」問題はありません。(=゚ω゚)ノ

    が、ライトによっては熱を持つので多少ケージ内の温度が上がります。
    温度計で測れれば一番ですがケージをあけてヌルいな、と感じる場合、特にムワッとした暑さの場合はとても危険です。こ
    特にスタンドなしでフルガラスケージで直置きだとアブナイと思います(゚Д゚;)。

    ケージの通気性、使用しているライトにもよりますがまずは温度をチェックしてみて下さい。

    暑さを感じるようでしたら仰る通りライトを離して熱から遠ざけてみたり、GEXのグラステラリウムなどの通気性の良いケージに変えてみることもオススメです。(=゚ω゚)ノ
    (通気性がよくなることでカエルも過ごしやすくなりやすいです)

  • 3通りすがりの人2020年9月17日 17:52

    はじめまして!
    30キューブ水槽にて、ホソバオキナゴケをメインにテラリウムを作成しました。ライトが現在 コトブキフラットLED2032 ss一灯のみなのですが、さすがに光量不足でしょうか。以前(3年程前)に購入した、ADAアクアスカイの30センチ用がありますが、そちらの方が良いでしょうか。
    その他植物は、ハイゴケ、トキワシノブ、ノキシノブ、ユキノシタ、トウゲシバなどが入っております!

  • 4Jun Matsubara(おたま商会)2020年9月17日 17:57

    >>3

    ホソバオキナゴケメインだったら光量不足じゃなくて普通に使えると思います。

    心配なのはシダその他植物の成長具合なので育たない・間延びするようでしたら変えてみて下さい。

    アクアスカイはかなり発熱するタイプのLEDなので苔にとっては苦手かもしれません・・・。
    温度を見ながら使ってみて下さい。(=゚ω゚)ノ

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