【エサ】コオロギの概要。キープ方法や種類の違いなど
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エサに使用するコオロギの使い方基礎。
与え方やストック方法、種類や使い分け、使用する上での注意ポイントなどを解説。
エサ用コオロギのメリット
カエルに与える虫としては「ミルワーム」「レッドローチ」などもありますが、「コオロギ」は最も優秀で定番なエサ虫です。
コオロギの強みは大きさあたりのカロリーが高く、カルシウムパウダーをまぶすだけで完全栄養食となること。同じ量を与えてもコオロギの方が成長具合が抜群に良く、痩せも戻しやすいです。
他の虫と比べて維持・繁殖が面倒なデメリットはありますが、それを跳ね除けるほどの一番人気の活エサで、ショップでの取扱い量もNo1。
カエルにおいても最もメジャーなエサになりますので、まずはコオロギを取り扱う基本を抑えておきましょう。
エサに使うコオロギの種類
エサ用に使われるコオロギは「ヨーロッパイエコオロギ」「フタホシコオロギ」この2種類がメインです。
あとはフタホシコオロギのバリエーションである「クロコオロギ」があります。
ヨーロッパイエコオロギ
「ヨーロッパイエコオロギ」は略して「イエコ」、別名「ハウスクリケット」は南西アジア原産のコオロギです。
明るい茶色の中型コオロギで、成虫は1.5cmほどの大きさ。
後述するフタホシコオロギと比べて、欠点が控えめで無難に使えるのが強みです。
デメリット
大きさ自体が小さいので、大型のカエルには物足りないところはデメリットです。
また動きがすばやく、猛ダッシュ中はカエルが飛びついてもすり抜けてしまうことが度々あります。更に少しの振動でもピョンピョン跳ねることから、飼育者にとってもピンセットで掴みにくいのも気難しいところ。
フタホシコオロギ
「フタホシコオロギ」略して「フタホシ」は、熱帯~亜熱帯域に生息するコオロギになり、日本にも沖縄等の南西諸島に生息しています。
黒い茶色の大型コオロギで、成虫の大きさ目安は2.0~2.5cmほどです。
先述したイエコと比べ胴体が太く身が多い上、脂肪の割合も多く高カロリーなのが特徴。同じサイズのコオロギを与えた場合、イエコよりもフタホシの方が太らせやすいです。
またイエコと比べて歩みが早くなく丁度良く、あちらは軽い振動でもピョンピョン跳ねまくるのに対し、フタホシは相当危険だと判断しない限りはジャンプしませんので、エサとしての性能自体はこちらの方が上です。
デメリット
お腹が空くと生体を噛む傾向が強くあり、生体に負担をかけないよう取扱いには注意が必要になります。(イエコも噛むがフタホシと比べるとずっと大人しい)
その他の欠点として直接エサとしては関係ないのですが、オスの成虫が出す音がイエコより一回りうるさいこと。
ストック規模にもよりますが瞬間70~80dB(ゲームセンターや地下鉄レベル)ぐらいの音が出るので、人によっては許容しがたいです。聞こえ方もイエコは「リィーリィー」とやや風流な虫の声ですが、フタホシは「リ゛ィッ!リ゛ィッ!」なのでその点もうるさく感じます。
そして黒く大きいので見た目がグロテスクなこともデメリットです。使っていると慣れる人が大半ではありますが、どうしてもゴキブリっぽいので無理な人もいます。
クロコオロギ
大型化するフタホシコオロギのタイプが「クロコオロギ」になります。名前通り黒い体色が特徴的です。
成虫3.0cm程の要するに大きなフタホシコオロギなので、基本的な取扱いおよび特徴などは同様です。ショップもフタホシコオロギ系は、通常タイプかクロコオロギどちらか片方しか取扱いしません。
メリットもデメリットも一回り大きくなっていますが、大型のヒキガエルなどはこちらの方がマッチするでしょう。
種類 | 簡単なまとめ |
---|---|
イエコ | 明るい色の小さなコオロギ。 すばしっこくピョンピョン跳ねる。フタホシと比べて生体を齧るリスクは低く、気をつかわずバラまける。見た目もあまりゴキブリ感がなく、とっつきやすいのも良し。 |
フタホシ | 体が大きく、身もプリプリな贅沢コオロギ。 動きが遅く食べやすい。 ただし顎の力が強く、生体を齧ることがあるので気をつけて使う。あと見た目がゴキブリに近いので最初はとっつきにくい。 |
クロコオロギ | フタホシコオロギの黒くて大きいタイプ。 大きいだけで性質はフタホシと同じ。 |
コオロギの与え方
コオロギは栄養バランスが比較的良いエサ虫でありますが、カルシウムだけは欠乏しているので市販のカルシウム剤をまぶして与えるのが基本です。
カルシウム剤をまぶす行為は「ダスティング」と呼びますが、ダスティングを行わないといずれエサを全く食べれなくなる「くる病」を発症しますので、長期的に与える際はダスティングを必須として下さい。
あえてダスティングしない場合も
ワイルドの個体でまずはエサを安定的に食わせたい時など、短期ならあえて粉をまぶさないこともあります。(粉を嫌がって吐いてしまうことを防止するため)
ダスティングの方法
ダスティングには爬虫類・両生類用に売られているカルシウム剤と、タッパーや大きめのカップなどの容器を使用します。
容器にカルシウム剤とコオロギを入れ、容器をフリフリしたりくるくる回したりしてカルシウムをまぶします。
これぐらいまぶせば十分なぐらいです。
カルシウム剤は多くが無リンタイプの製品だと思いますので、相当変な盛り方をしない限りはミネラル分の過剰摂取は起きません。不安であれば「レップカル カルシウム」が私が愛用していて、過剰摂取を確認できたことがないのでオススメです。
ケージへの投与
ベーシックな投与方法としては夜にケージにバラまいて、翌朝コオロギの数を数えて食べているか確認する給餌方式になります。
多くのカエルは夜に活発に活動しますが、カエルの種類・コンディションによっては昼からでも積極的に摂食を行うので、その場合は昼に与えた方が良いでしょう。食べるのを観察しながら、少しずつ投与して与えればエサ量が調節しやすいです。
その他大きなタッパーなどの「エサ皿」を用意し、そこにコオロギを投入する給餌方式もあります。植物を植えたテラリウムケージなど、コオロギの数を数えにくい時に有効です。
一部の種類・性格によっては、ピンセットからコオロギを食べてくれることもありますので、その場合はピンセットで直接与えた方が量を調節しやすいでしょう。
基本的には食べさえすればOKなので、給餌方式はカエルや自分にあったスタイルに最適化して下さい。
コオロギのキープ方法
購入してきたコオロギは上のような虫かごや衣装ケースなどでストックします。
最低限必要なのは「エサ場」と「水場」のみですが、新聞紙や紙をクシャクシャにしたものや紙製卵パックなどの「足場」を入れて、コオロギの収容数を増やすのが基本です。
床はシッコをすぐ乾かして無害化させるため、何もしきません。(掃除も楽)
なおイエコ・フタホシは両方とも亜熱帯・熱帯に生息するコオロギのため、温度は15℃以上を保つ必要があります。冬場は必要であればパネルヒーターや暖房などで加温して下さい。
飼育ケージの大きさ
M~成虫のコオロギサイズなら横幅20cmの虫かごで30匹ぐらい、100~200匹ぐらい収納できるのは横幅40cmの虫かごが必要です。
下のような30cmぐらいの虫かごがある程度余裕があって1つのオススメ。それ以上のサイズであれば衣類収容用の衣装ケースが安いので良いでしょう。
過密気味になると湿度が上がってバタバタ死んでいきますし、フタホシコオロギであれば共食いが頻発するようになってしまうので必ず飼育匹数には余裕をもって下さい。
また近場のホームセンターで都度コオロギを少量購入するよりかは、通販や爬虫類専門店に足を運んで購入した方が大幅にお得になるので、そういう意味でも大きいケージを用意するのがお得です。
(ホームセンターだと少量購入で1匹70円したりすることがありますが、通販なら1匹15円程とかなり違ってきます。送料がかかるので出来るだけまとめ購入したいですね)
一言アドバイス
悲しいのですがカエルのケージより、コオロギのケージの方が大きいというのは割と普通です。もはやどっちを飼育しているのか分かりませんね。
エサ場とエサ
小さなタッパー・素焼きの浅皿などに、コオロギ専用のフードや熱帯魚用のエサを入れます。
熱帯魚用のフードでも良いのですが、匂いが非常に臭くなるデメリットがあります。可能であればコオロギ専用フードを購入しておくのがオススメです。
有名どころでいえば「月夜野ファームのコオロギフード」などがあります。
なおフタホシコオロギは肉食傾向が強めで、エサによっては共食いが頻発するようになります。
その場合は肉食魚用のエサである「カーニバル」「キャット」などの肉質の多いエサを添えてみて下さい。(恐らくイエコ用に調整されたコオロギフードだと物足りないのだと思われます)
水場
「鳥用の水差しにキッチンペーパーを詰めたもの」が長い間メンテナンスフリーなのでオススメです。
他にも「丸めて濡らしたティッシュを浅い皿」においたり、「昆虫ゼリー」を設置する方法があります。道具は何でも良いのですが、水切れが起こると死にはじめるので水は切らさないようにしてください。
イエコなら多少耐えてくれますが、フタホシであれば数日で死にます。(まず水分摂取のための共食いが頻発し始める)
また床が濡れると糞の毒素が放出されて全滅するので、その点も注意して下さい。特に紙の足場が水場に触れると、伝って全部が濡れてしまうのでケージに手を入れる際は覚えておきましょう。
飼育のポイント
キープのポイントとして、とにかく飼育ケージがカラカラに乾燥する環境を維持すること、これに尽きます。
ケージは最低でも蓋が網状で通気性があるものをチョイスし、可能であれば逃げない高さのある衣装ケースで蓋無しにするか、衣装ケースの蓋を加工して全面メッシュにしたものが良いです。
またコオロギの収容数がケージの許容量を超えてしまう(過密である)と、過剰なシッコでケージ内の湿度が上がりバタバタ死んでいくことになります。
飼育ケージのチョイスが生存率にそのまま直結しますので、思ったよりも余裕のあるケージを選んで下さい。
(衣装ケースのフタをくり抜いて園芸の鉢底ネットに)
エサとして気をつけるポイント
生体を齧る危険がある
コオロギはお腹が空くと生体を齧るので、この点には注意します。
特にフタホシコオロギ系は攻撃性が高く、アゴの力も強いためこの性質が顕著です。過剰にバラまくと最悪生体を襲って食ってしまうこともありますため、取扱いには注意しましょう。
基本的には「カエルが食べれないような大きなサイズは与えない」ことを基本とし、加えてフタホシコオロギにおいては「バラマキ給餌で長期間余るような与え方はしない」ことを徹底して下さい。
羽が生えると栄養効率が落ちる
コオロギは羽が生える成虫へと変わると栄養価が落ちてしまいます。
成虫への脱皮の際、コオロギ体内の栄養を消費して羽を生成しますが、キチン質である羽はほとんどが消化吸収できないためです。これはイメージですが、人間で言うとでかい蟹を羽ナシ幼虫なら身だけを、羽あり成虫なら殻付きで食べているようなものに近いでしょう。
1匹あたりの栄養価が最も高いタイミングは成虫ではなく、実は成虫になる直前の終齢幼虫です。
とはいえ成虫になっても他のエサ虫と比べて、ぎっしり身は入っていて栄養価は依然高いので、これを気にするのは「成長途中の若い個体」「繁殖のための体力作り」「痩せた個体のケア」時のみになります。
よくある質問
ヨーロッパイエコオロギとフタホシコオロギはどっちがオススメですか?
バラまき放置ならイエコです。給餌管理できるのであればフタホシが良いでしょう。
まずコオロギをケージにばらまいて放置する給餌方法であれば「イエコ」が良いです。これはフタホシはお腹がすくとカエルの体・手足などを齧ってくるためです。(特に地表性のカエル)
取り扱いに注意できればフタホシの方が栄養価が高く、のそのそ歩いて食べやすいのでエサとしては向いているかと思います。それにイエコとフタホシは大体同価格なので、1匹あたりのカロリーが高いフタホシの方がコスパが良いです。
コオロギを自分で繁殖する点においても、フタホシコオロギの方が卵→成虫→産卵のライフサイクルがひと回り短く、初令サイズも育てやすいのでオススメです。(成長が異様に早い)
あとは「カエルの大きさによる使い分け」もあります。
イエコの方が成虫サイズが小さいので、例えばシュレーゲルアオガエルぐらいのサイズだとイエコならストック中に成長しきっても食べられるのに対し、フタホシだと成虫になったらデカすぎて食べられなくなり処理に困ることになります。
その他にも両者は性質が色々異なり、例えば「コオロギのストックに用意できる環境」「成虫が発する音の許容具合」「見た目」によって合う合わないがありますので、カエルおよび飼育環境と自分に合いそうな方を選択すると良いです。
匂いがくさすぎますが、どうしていますか?
エサにコオロギ専用フードを使えばほとんど臭わなくなります。
餌を熱帯魚用フードなどで代用している場合、糞尿(体臭?)が異様に臭くなります。
コロオギ専用の粉末フードを与えれば匂いはある程度抑えられますので、是非試してみて下さい。
その他ケージがムシムシすると糞尿が水と反応して臭くなりますので、糞がカラカラになるよう通気性の良いケージ(一番は衣装ケースで蓋なし)を使いつつ、過密にしないこともポイントです。
繁殖させて自家生産できないのでしょうか?
十分可能です。しかしながらケージが複数必要かつ、極小コオロギは毎日のケアが必要でありますため、多くの愛好家はコオロギは買い切り派です。
コオロギは土に卵を産みますが、「園芸用の土」や「腐葉土」「カブト用のマット」など何でも良いので、土を加水した上でタッパーに詰めておけば日常的に産卵が行われるようになります。
上記のように湿気ったティッシュをギュウギュウに詰めたものですらあっさり卵を産むので、卵は非常に簡単に取ることが出来ます。ティッシュは非常にカビやすいので、特別な理由がなければ土が良いです。
産卵が行われた土は乾燥しきらないように維持すれば、2~4週間ほどで稚コオロギが湧いてきます。(タッパーならフタをするだけなので簡単)
稚コオロギ(ピンヘッド)は小さすぎてタッパーなどに登りにくいため、床にコオロギフードと水を含ませたティッシュ・キッチンペーパーを置いて管理します。特に飲水が出来なければあっさり全滅するので、毎日ケージをチェックして水を保つのがポイントです。
産まれたコオロギは、ヨーロッパイエコオロギなら4~5ヶ月、フタホシコオロギなら3~4ヶ月ほどで成虫に育ちます。
とはいえ買い切りの人が多い
コオロギの自家生産は、稚コオロギがほぼ毎日世話しなくてはならず、小さなカエル(アマガエルぐらい)でも使用できるようになるまでは約1ヶ月も育てる必要があります。成虫サイズであれば3~5ヶ月間もの育成期間が必要です。
更にチビコオロギはサイズごとにケースを分けないと食われてしまうため、繁殖用のケージも加えると数多くのケージを設置することになります。
そのためコオロギを増やして自家生産している人はかなり少数派で、基本的に1~2個のケージで都度必要なサイズのコオロギを購入するユーザーがほとんどである現実は認識した方が良いでしょう。
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