カミハタ「レプタイルガーデン」レビュー。鑑賞・利便性バツグンケージ
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カミハタから発売の「レプタイルガーデン」のレビュー記事です。
開封の様子や良かったポイント・気になったポイント、グラステラリウムとの違いなどを紹介しています。
製品の概要

「レプタイルガーデン」は神畑養魚株式会社(カミハタ)よりリリースされた、爬虫類・両生類用ガラス製ケージです。
カミハタが手掛ける飼育ケージ類は「ジャイアンガーデン」というブランドで展開しており、それは2024年7月22日にスタートした比較的新しいブランドになります。
そのジャイアンガーデンの中で「レプタイルガーデン」は、スイングドア扉のモデルシリーズで、前面下部に通気口付き、金属メッシュのトップカバーが大きく開くなど、レイアウトやメンテナンスをしやすいシリーズなのが特徴です。現マーケットの定番製品だとGEXの「グラステラリウム」が類似・競合製品になりますかね。

さて「レプタイルガーデン」は、現状20cmで高さ30cmの【2032】、30cmキューブの【3032】、30cmで高さ45cmの【3045】の3種類のみがラインナップされています。
ラインナップ | 本体サイズ |
---|---|
2032 | 約20.8×20.8×32cm |
3032 | 約30.8×30.8×32cm |
3045 | 約30.8×30.8×45cm |
今回はレプタイルガーデンの3045を実際に開封してレビューを行っていきますね。
※なお同ジャイアンガーデン内で「フォーダブルレプタイルガーデン」などもありますが、本記事でレビューするのは何も冠していない「レプタイルガーデン」(無印)になります。
開封・本体の様子

開封すると取説が中に入っています。



シリコンの塗り具合はこんな感じ。モリモリ方式で安心ですね。
魚用のガラス水槽を見慣れてる人からすると批判的な意見が飛んできそうですが、爬虫類ケージって結構ガシガシ清掃するんで個人的には多めの方が好印象です。

黒いゴミみたいなものが多数付いていますが、これは全部シリコンのカスでした。
シリコンカスは手で簡単に取れるんで実使用は問題ないのですが、あちこち多数ついてますしちょっと気になるポイントではあります。

また扉前面にもシリコンがはみ出ている箇所がありましたので、全体的にシリコン処理への認識が甘いように感じます。
前面通気口

グラテラと同じく前扉に通気口が空いております。温められた空気が上フタから逃げるので、ここから空気がつられて引き込まれる仕組みですね。

横長タイプの穴になっています。トリニドショウジョウバエがギリギリ通れましたので、どうせならギリギリ通れないぐらい薄くして欲しかったところ。(パッケージにもヤドクガエルが書いてますので・・・・)
スイングドア部

スイング扉は左側を中心として開くタイプです。
ロック部分には穴もあいているのでワイヤーロックも取り付けられる仕様となっております。

扉は突起を上にクイッと上げてひけばそのまま開けます。
グラテラや安いケージだとロック機構が本体側にあるのですが、レプタイルガーデンは扉側にありこれがめちゃくちゃ良いです。これは後で詳しく説明しますね。とにかく使いやすいです。

前扉ガラスと横ガラスとの隙間はほんの僅かだけ隙間がありますね。僕の購入したものは下部に若干の隙間がありましたが、上部には隙間がみられませんでした。

なのでガラス扉がわずかに斜めにはなってはいましたが、かなり注目して見ない限り分かりませんし、そもそも高さ45cmケージでこれだけ歪みがないのは品質としては十分かと思います。(あとここはおそらく個体差があるかと)
フタ

フタはロックが4隅の4箇所についており、ロックを外すと扉全部が外せます。

非メーカーの某安価ケージと比べ、背面に謎の隙間があったりしないので特に問題なく作られているなという印象。やはり大手会社だけあってちゃんと作られていますね。
さてフタ部分のロックは4箇所ありますが、前部2つまたは後部2つのみロックを残したままにすればスイングして扉がオープンできる仕組みとなっています。

特に3032のキューブタイプならありがたいポイントになっているのではないでしょうか。

メッシュ部分はガッチリとした網目です。取説によりますとこのメッシュ部に保温球やUVA/UVBの紫外線球を載せることが出来ますとのこと。(その際フレーム部分には当たらないでね、とも)
網目のサイズは結構大きめ。パッケージにヤドクガエルが掲載されているものの、ヤドクガエルのメインエサとなるトリニドショウジョウバエは普通に逃げる穴サイズなので注意。
穴がでかい分、通気性はかなり良いんでツリーフロッグにはプラスなものの、ヤドクガエルにとってはマイナスです。
ラニトメヤ属など小さいヤドクグループは通常キイロショウジョウバエのバラマキだと思うんですが、そういうのはPCP3045を使ったほうがいいですね。

また上部フタがスイングするための穴が、何故かケージ内を貫通して隙間となっているので、ここからもショウジョウバエハエが通過します。ここは普通に塞げると思うんですが、なぜ空いてるかは不明。
コード穴

フタを閉めててもコードが通せる穴は背面の2箇所にあり、それぞれ2つのコード穴が設置されています。(合計4穴)

電源コードやエアーチューブなどを通すことが出来ます。

使わない場合はスライドでフタができるんで、この部分から脱走する心配はありません。(ここ逃げないように作り込んでいるのに、フタのスイング部の隙間は何とかならなかったのか・・・??)

コード穴のサイズは6mmのエアーチューブはもちろんのこと、電源タップに使われるような太めのコードもギリギリ通せます。(実際に写真に写っているコードは電源タップのもの)
水張り部分

水張り可能なのは7cmぐらいです。(上の写真は定規の端が0.5cmあるので、目盛りより多め)
使用感・レビュー
さてここからは実際に使ってみたり、実使用を評価していきます。
扉の開放が抜群にしやすい!
レプタイルガーデンを実際に触ってみて、めちゃくちゃ好印象だったのがガラス扉の開け方およびロック方式です。


ロック機構はスイングする扉側についておりまして、これを上に引き上げればロック解除。そしてそのロック解除した手をそのまま引けば開放できるんです。

定番のグラステラリウムを始め、多くのガラス扉ケージはロックがケージ側についているのが基本なので、ロック解除後に指を離してガラス扉部を触るという工程が必要になっているのですが、このケージはロック解除した指でそのまま引くだけ!!
私は多くのガラスケージを触ってきましたが、ここまで楽にガラス扉が開けるケージは初めてです。本当にめちゃくちゃ良いです・・・。
フロント扉はだいぶスッキリ

従来のガラス扉ケージと比べると前面の扉受けの部品がかなりスッキリして、非常にスタイリッシュ。
個人的にはケージはほとんどテラリウム化するのですが、レイアウト部分が広く見えるようになって驚きました。更に扉が2枚ではなく1枚なので余計な隙間などもなく、鑑賞性は非常に高いです!

光の減衰率
30cm用のライト(GEXクリアLEDパワーⅢ300)を設置し、フタ有りと無し時のルクスを測定します。それによりフタでどれだけ光量が減衰されるかをチェックします。

蓋なしで1,087Luxのところ・・・

フタをすると554Luxまで低減。51%まで光量が減衰する結果に。
メッシュサイズは大きめなもののガッチリ作られていますし、周りの黒枠部分も大きいので結構な減衰がかかっちゃいますね・・・・。テラリウムで使用する場合はこの減衰率を考慮に入れてライトを選ばないと植物がイマイチ育たないということになるので注意すべきでしょう。
別途1,000~2,000円でガラスをオーダーカットしてはめ込むことで解決しますが、そうすると通気性は落ちちゃうんでツリーフロッグとしてはイマイチ。外周の黒枠部分がもう少し小さければ良かったのですが・・・・。
グラステラリウムとここが違う

ガラス製で前扉が開くケージといえば、GEXが販売している「グラステラリウム」シリーズが2024年最定番。
それと「レプタイルガーデン」との違いは気になるところですので、違いなどを「グラステラリウム 3045」と比較してレビューしていきます。
前ガラスの扉受けがスッキリ

やはり一番の印象はフロントの扉受けの違い。グラステラリウムはかなりガッチリ作られていますが、レプタイルガーデンはスッキリ収まっています。
1ドアでスッキリ

グラステラリウムは横幅30cm以上のモデルから、フロントガラスが両開きの2枚方式に変わります。レプタイルガーデンは1枚なので開閉が楽ですね。
上部フタ

レプタイルガーデンは丈夫なガッチリ網目なのに対し、グラステラリウムは細目のステンレスメッシュで柔らかめです。
メッシュの網目で比べるならば通気性はレプタイルガーデンの方が高いと思うのですが、上写真のように周りの太枠が結構太いのはネック。
太くなっている分、レプタイルガーデンはスイング方式で開閉できる機構が付いているのがメリット。グラステラリウムは取り外すか、セットするかの2択です。

光の減衰率
レプタイルガーデン同様、フタ有りと無し時のルクスを測定しフタによる光の減衰率をチェックします。

フタ無しで1024Luxのところ・・・・

フタをすると678Luxに。光量は66%に落ちていますね。
レプタイルガーデンは51%でしたので、グラステラリウムのフタの方が光の通りが良いことが分かります。グラテラは柔らかいメッシュフタを支えるためにフタ中央に1本支えが入っているのですが、それでもグラテラの方が光の通りが高い結果に。
レプタイルガーデンはスイングする機構のせいで外枠が太くなっている印象がありますね。

水張り部分は少し浅めに

グラステラリウムの水張りできる高さは8cmいかない程度です。レプタイルガーデンの方は7cmでしたので、グラテラと比べると1cmほど浅くなっています。

水を張るイモリユーザーからするとデメリットとはなりますが、軽石で埋めてしまうテラリウムユーザーからすると浅くなっているのはメリットです。
シリコンはグラテラの方が丁寧
シリコン処理はグラステラリウムの方が丁寧で少ないです。

上の写真は結構使い込んでるケージなので正確な比較は出来ませんが、レプタイルガーデンと比べると・・・

レプタイルガーデンはシリコンをかなり多めに使っていることが分かります。
またレプタイルガーデンはシリコンのカスが至る所に点在しておりますが、グラステラリウムは開封時そんなことはなくすぐに使える状態で綺麗ですので、全体的にシリコン処理はグラテラが大きく勝りますね。
その他
その他、グラステラリウムにはランプステーとバッググラウンドが付属しておりますが、レプタイルガーデンの方はそれらが付属しておりません。



レプタイルガーデンがラインナップされているのは30cm以下の3モデルのみなので、保温球が必要な亀や大型トカゲに使用するランプステーはオミットされていると思われます。現に大型ケージのフォーダブルレプタイルガーデンにはライトステーが付いています。
バックグラウンドの擬岩は欲しい人にとっては結構嬉しいアイテムなので、これが付属していないのは購入判断の分岐点になるかもしれません。
あと並べてみて気付いたのですが、同3045モデルでもグラステラリウムの方が少し大きいです。

公称サイズは以下の通り。
レプタイルガーデン:約30.8×30.8×45cm
グラステラリウム:約31.5×31.5×48cm
私は棚を作る歳、30×45の水槽規格で作るためそれに近いレプタイルガーデンの方が助かるのですが、高さは明らかにグラステラリウムの方がデカいと感じるので、人によっては小さい印象を受けるかもしれません。
総評

私はテラリウムでカエルを飼育する用途がメインなのですが、「非常に使い勝手の良いケージが登場したな」と感心しました。
定番製品はGEXの「グラステラリウム」ですが、それと比べて扉受けが非常に小さい上、ガラス扉の開閉のしやすさが非常に優れております。特に扉の開けやすさは過去使用したケージの中で最も良いので、日々のメンテナンスは非常に楽なること間違いなしです。

ヤドクガエルの観点から言えば、フタ隙間・メッシュ部共にトリニドショウジョウバエすら逃げる作りになっておりますため、強気のアイゾメヤドクガエルやモウドクフキヤガエルなど、エサを投入したらすぐにパクパク食べるヤドクガエルに限られるのは残念なポイント。ラニトメヤ属などの小型種では従来通りPCP3045などのケージを使うことになるでしょう。
反面、ツリーフロッグ・地表性カエル用としてはかなり完璧に近いケージです。フタの外枠部分が太く、ここがライトを遮ってしまうこと以外に欠点がありません。
値段はグラステラリウムと比べて1.3倍程度の高い傾向があるものの、扉受けのデザイン性・利便性はバツグン。値は少し張りますが「今後はこれをベースにテラリウムを作っていきたい」と思うほどの完成度でした。
新品にも関わらずシリコンカスが多数残っているので、ユーザーによっては「なんだこの汚いケージは!?」と通販サイトのレビューが下がりそうなものの、正直この点が改善されればメーカー品ですし、グラステラリウムに並んで今後スタンダードになる可能性を感じますね。
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※本製品は2025年6月に購入したものです。仕様は変更される場合がありますので、その点はご留意下さいませ。
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