カエル・イモリのためのアクアテラリウム制作ノート

カエル・イモリのためのアクアテラリウム制作ノート

アマガエルやヌマガエル向けに、水たまりのあるアクアテラリウムを作成しました。作り方および制作過程と制作のポイントを紹介します。

目次

完成したテラリウムのフォトギャラリー

30cmアクアテラリウム水槽
テラリウムの流木にいるアマガエル
テラリウムの葉っぱの上にいるアマガエル
アクアテラリウム水槽に泳ぐメダカ
アクアテラリウムケージを置いた様子

今回は日本の里山の池、その境界風景をイメージして作ってみました。

植栽植物も池などの近くに生える雑草や日本に生えるシダなどを少しチョイス。ただ雰囲気は良いもののテラリウムだと育成が難しいものもありますので、テラリウムで育てやすい植物も混ぜつつ、それっぽくなるよう工夫しています。

水位を結構確保しているので日本のアカハライモリなんか入れてもバッチリです。

スペック
ケージ カミハタ レプタイルガーデン 3032
(約30.8×30.8×32cm)
照明 GEX クリアLEDパワーⅢ×2台
底床材 プラチナソイル、固まる君、造形君、植えれる君、活着君(背面)
植栽植物 キチジョウショウ、シペルス・ヘルフェリー、ヒメセキショウ、チャセンシダ、イワデンダ、屋久島ユキノシタ、マメヅタ、ハイゴケ
水やり フォレスタによる自動散水(1日1回1分)
生体 ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエルなど、メダカ

ケージの選定とポイントとなるアイテム

ケージにレプタイルガーデンをチョイス

アクアテラリウムのケージとして選んだのはカミハタの「レプタイルガーデン 3032」です。

ガラスケージで最も定番なのはGEXの「グラステラリウム」ですが、2024年に発売された後発の「レプタイルガーデン」は扉受けが非常にコンパクトに進化しています。

レプタイルガーデンとグラステラリウムの比較、扉受け
左:レプタイルガーデン3045、右:グラステラリウム3045
新しいケージだけあってかなり綺麗になっています。

アクアテラリウムということもあり水と陸場の境界もなるだけ見せたいため、このレプタイルガーデンをチョイスしました。

熱帯魚用のガラス水槽を使った方が鑑賞性は上がりますが、カエルを飼育するケージなのでエサやり・草のトリミング・ガラス汚れの清掃なども考えると、前扉タイプの飼育ケージがマストでしょう。(前扉の開けやすさもこちらの方が圧倒的に上です)

固まる君

アクアテラリウムを作るには、水場に土粒が入りこまないようにする土留め(セパレート)する必要があります。

土留め手法としては「シリコンとスタイロフォームで土台を作り、岩をつけて加工してく」「セメントで造形して固める」が一般的ですが、面倒かつ時間もかかる工程です。※セメントにいたっては植物の生育も阻害してきます。

しかしその面倒な工程を簡略化する製品が出ました!ピクタから発売の「固まる君」です。

ピクタ、固まる君

「固まる君」は乾燥すると固まる粘土のような土となっており、これによってメチャクチャ簡単&生体に安全な土留めができ、しかも植物の生育も阻害しません!

作成手順の様子

ベースの作成

アクアテラリウム作り、その1

ツリーフロッグの足場となるような良い感じの流木が売ってましたので、それを奥側に配置しつつ地面の半分ぐらいが水たまりになるような構図で作ってみようと思います。

土留めは先述した「固まる君」で作るのですが、量に限りがありますので節約しつつベースを考えるため「植えれる君(3cmタイプ)」と併用します。

植えれる君3cmの中身

植えれる君はスポンジのような吸水性のあるテラリウム素材です。加工がしやすくカッターでカットするのはもちろんのこと、手でちぎったりスプーンで削り取ったりしてテラリウムの地形を作るのに活用することが出来ます。

アクアテラリウム作り、その2、植えれる君

水中ポンプをどこに置くか考えつつ、カッターを中心に手でちぎったりして、大体の地形の大枠を作成しました。

このままだと角が人工的なので、指で角を押して自然っぽくなるように工夫を加えます。

アクアテラリウム作り、その3、植えれる君

最終的にはベースはこのように。接着剤などで固定しておらず、置いているだけです。

陸場の比率をもっと多くすべきか悩みましたが、将来的にアカハライモリを入れたり、アマガエルの繁殖もしたいと思ったので水場エリアは広くとることにしました。カエルの飼育だけならもっと水場を小さくした方が、活動場所が広がるかと思います。

ベースに「固まる君」を塗る

固まる君と植えれる君で作った地形

作成したベースに固まる君を塗って、地形を固定していきます。

固まる君を薄く伸ばした様子

このように薄く伸ばして、ベースに貼り付けていきましょう。

植えれる君に貼り付けた固まる君

貼り付けていくとこんな感じでとても自然な造形になります!

固まる君の貼り付けに際してですが、あまり薄すぎるとその後崩れたり割れやすくなっちゃうので注意が必要です。多く使えればそれに越したことはないのですが、固まる君は造形剤としては高価な部類なのでうまく調節して下さい。

アクアテラリウム作り、その4、固まる君で地形づくり

全面に固まる君を塗れました。(裏側は塗っていません)

今回は固まる君を1個しか用意していませんでしたので、なるだけ薄く薄く塗っていきましたが、余裕があれば複数個購入しておいたほうがオススメです。

アクアテラリウム作り、その5、固まる君で床も固めた

結構余ったので、地面にもかなーり薄く伸ばして更に自然感をアップさせました。

底面には田砂・川砂などの砂利を入れようと思っていましたが、固まる君で底を薄く覆ってしまえば掃除が簡単&砂で水位を圧迫しないメリットがあります。

数日~1週間放置する

固まる君は完全乾燥させることで水に溶けない素材へと変化します。

かなり薄く塗った部分は半日で乾いて固定されるのですが、やや厚みのある部分は数日かかりますので少なくともそれぐらいは放置して乾燥させましょう。

逆に水分を含んだまま注水してしまうと、溶けて流れてきてしまい土留めできませんので、しっかりガチガチに乾かすことを徹底して下さい。今回は1週間ほど乾燥させましたが、厚めに塗った場合はより多くの時間が必要になります。

なお固まる君は乾燥させていくとやや縮むので、小さな裂け目が入ることがあります。その場合は隙間に固まる君を薄く塗って(埋めて)フタをすればOKです。(もちろんそれも乾かすこと)

活着君の接着

アクアテラリウム作り、その6、活着君

コケや植物を活着できる布状アイテムである「活着君」を背面にシリコンで貼り付けました。

背面は黒いバックスクリーンまたは、いつも通り「造形君」でも塗るかなぁと考えていましたが、活着君は薄い布一枚で苔を這い回せることができるのでこっちのほうが良いですね。(もっと早い段階から付けておいてOKです。忘れてました)

ソイルの投入

固まる君がカチカチに固まったのを確認後、陸場に植物を育てる用土を投入していきます。

アクアテラリウム作り、その7、ソイル投入

今回は植物用土として熱帯魚・水草用の「ソイル」を使用しました。

ソイルは水草育成用の用土で、「育成に向いた弱酸性」「水中でも崩れにくい」「粒が均一」というメリットがありますので、アクアテラリウムにも最適です。

今回使用したのはJUNの「プラチナソイル ノーマル粒」ですが、ソイルであれば製品は何でも良いかと思います。(長期使用の場合、違いをあまり感じないです)

造形君でソイルをカバー

ソイルを投入した後は、ソイルの上に造形君でカバーします。

アクアテラリウム作り、その8
もう植物も植えながら、配置を考えていっています。

造形君でカバーするのは2つ理由があり、1つ目はカエルが掘ったりジャンプした際にソイル粒が飛び散って、池/水中に入るのを防ぐためです。

2つ目の理由は、カエルの中にはソイルを誤飲すると死ぬ種類がいるんで、その誤飲を防ぐためのカバーです。

今回テラリウムの住人として想定しているのは、アマガエル・シュレーゲルアオガエル・ヌマガエルでありますが、それらは経験上ソイルを誤飲しても死ぬカエルではありません。ただ後から他のカエルでも心配なく使えるようにしておきます。

造形君+植物でレイアウト

後は植物と造形君を使って、自然っぽくなるよう地形およびレイアウトしていきます。

アクアテラリウム作り、その9

右奥は造形君+ソイルを盛って高さを出し、適当に選んだシダ類(チャセンシダ、イワデンダ、マメヅタ)を植えました。チャセンシダは壁面に造形君と共に貼り付けています。

左右のテープ状の雑草みたいなのは水草でお馴染みの「シペルス・ヘルフェリー」です。

組織培養、シペルス・ヘルフェリー
組織培養カップで入手した当時のシペルス・ヘルフェリー。
陸上で育てると巨大化して良い感じに雑草感が出るのでオススメ。

この植物は耐陰性があって一般的なLEDライトでもグイグイ育ち、そして根腐れしないので雑に使える優秀なテラリウム向け植物です。本来はタマリュウとかを使いたいんですが光量が非常に必要で、根腐れもしちゃうのでボサボサ系の生育の良い草としてオススメです。

なおシペルスは観葉植物としても売られている種類がありますが、そちらはとても大きくなりますのでご注意下さい。

アマガエルのためのアクアテラリウム、植栽植物を追加して完成

キチジョウショウ」(左右の広いテープ状)と、流木の根本に「ヒメセキショウ」を追加して、ボリュームアップしつつ植栽完成です。

これら2つの植物はテラリウム下では光量的にちょっと怪しく、根腐れする可能性もありますが実験的に植えてみました。セキショウは経験上根腐れはしないのですが、光量が低いと全然育ちませんので光量はかなりポイントになるかと思います。

後のポイントとしては壁面・活着君近くに「ハイゴケ」を植えて、活着君に定着してくるよう配置しています。

さて今回用意した植物は主に山野草に強い「大型園芸店」で入手したものですが、専門店でないとテラリウムで使える山野草はほとんど取り扱いがないため、植物については通販をオススメします。(シペルス・ヘルフェリーだけ熱帯魚店で組織培養カップのものを入手しました)

自動散水機・照明装置のセット

最後に「自動散水機」と「照明装置」を設置して、テラリウム内の植物が育つようにしましょう。

自動散水機の設置

小型のテラリウムであれば霧吹きで良いのですが、30cmケージかつ大量の植物へ霧吹きすると非常に時間がかかりますので、自動散水機で水やりを自動化します。

フォレスタ FS-3000の加圧ポンプ

今回はゼロプランツの自動散水機・ミスティング装置である「フォレスタ」を設置しました。

「レプタイルガーデン」には背面にコードを通す穴が付いていますので、そこから内部にチューブを通して設置します。

アクアテラリウムに設置されたフォレスタのノズル

なお「フォレスタ」のベーシックセットはマグネットでも設置できますが、レプタイルガーデンの天井は硬い金属メッシュとなっていますので、噴射ノズルは結束バンドで固定しました。(マグネットいらずで節約!)

レプタイルガーデンに固定されたフォレスタのノズル

あとは水が過剰に増加して溢れ出さない量に噴射時間を調整します。植物の量や設置した部屋の環境にもよりますが、私の場合は1日1回1分で水位が保てています。1つの参考までに。

なおフォレスタの詳しい説明については以下の記事をご覧ください。

照明装置の設置

今回はGEXの「クリアLEDパワーⅢ」を2台並べて設置しました。

アクアテラリウムケージに並べた2台のクリアLEDパワーⅢ

よくテラリウムに使われるブセファランドラやフィカス類であれば、1台でも良いのですが今回の植栽植物から考えると、1台では光量が不足気味です。例えばシダ類は無くても育つとは思いますが、上に伸びちゃうので横に広がって伸ばしたい意図もありますね。

もし1台で済ましたいのであれば、「ボルクス Grassy Legna Fresh 30」あたりの製品がオススメです。フルパワーでクリアLEDパワーⅢの3台ぐらいのパワーがありますので、こちらの方が育つ範囲は広く生育も早いかと思います。(光の質もこちらの方が良い!)

好みで水中モーターの設置

もし水中でメダカやイモリなどを育成したい場合は、水中ポンプを設置する必要があります。参考までに「Rio+(リオプラス) 50(西日本タイプ)」を設置した様子がこちら。

アクアテラリウムに設置された水中ポンプ(リオプラス50)

このポンプはコンパクトでパワフルなのが良いのですが、池の水量に対しては結構流量が強いので、壁や床にあてて水流を緩めるなどの工夫が必要でした。

水を持ち上げて滝などにも活用できるポンプですが、メダカなどのゆるい水流にいる魚やイモリなどにとっては「水作のスペースパワーパワーフィット」など、ランクを落としたポンプでも良いかと思います。

アクアテラリウムにいるメダカを上から見た様子

モーター設置時は水が濁るかと思いますが、1日~数日ぐらいで濁りは収まります。

なお普段はカエルのみなので水中モーターは設置していませんし、水位もアマガエルのお腹が浸れるぐらいに維持しています。

経過・アフター

テラリウムは植物が繁茂してきてこそ、より自然さが増して良くなります。少しだけ参考程度に成長過程を紹介しますね。

2ヶ月後

2ヶ月後のアクアテラリウム
活着君に這ってきたハイゴケ

1ヶ月ぐらいでハイゴケが活着君に伸びてくっついてきました。

今までは「造形君」を時間をかけて壁に盛ったりして、苔やフィカス類を活着させてきましたが、活着君なら壁に1枚貼るだけで壁面処理が終わるんで楽チン&省スペースで良いですね。

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以上参考になりましたら幸いです。良いタイミングがありましたら、追記していきます。

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