ヤドクガエルの飼い方ガイド
公開:
更新:
ヤドクガエルの飼育方法。
用意する飼育環境やエサ、飼育ポイントなどを解説。
ヤドクガエルの魅力
「ヤドクガエル」は南アメリカの熱帯雨林に生息するカエルグループです。
非常に強力な毒を持つカエルとして知られており、名前は現地住民が矢にカエル毒を塗っていたことに由来(矢毒)します。ただし毒は現地の虫を食べることで生成できるため、販売されているヤドクガエルは一部を除き本来の毒は持っていません。(アマガエルと同じぐらい)
さてカエルの中でのヤドクガエルの魅力は、派手な体色と昼行性のため日中に動いている様子を観察できることです。
一般的なカエルは基本的に夜行性であるため日中とんど動きませんが、ヤドクガエルは昼行性なので圧倒的に観察しがいのあるカエルです。(これは本来強力な毒を持つため食べる外敵がいないためと思われます)
飼育は難しいと思われがちですがエサさえ用意できれば飼育が簡単なカエルので、興味があれば是非チャレンジしてみましょう。
飼育環境
簡単な飼育ケージの構成としては「ソイル」をしいて、「濡らした水苔」または「水を張ったエサ皿」という環境になります。
加えて大きめのヤドクガエルであれば洞窟状のシェルターや流木などで隠れ家を作ります。逆にラニトメヤ属などの小さなヤドクガエルであれば、流木や植物などを植えて立体活動ができるようにすれば良いでしょう。
飼育ケージ
ヤドクガエルのエサとしてはショウジョウバエが安くて管理しやすいで定番なのですが、そうすると壁をよじ登って脱走するためハエが逃げないケージをチョイスします。(キイロショウジョウバエを使う場合特に)
具体的な製品としてはシーラケース製の「クリアースライダー」または「コバエシャッター」がオススメです。
通気口はハエが逃げず、湿度も保ちやすいケース。
アイゾメヤドクガエル”アズレウス”、モウドクフキヤガエルなど物怖じせずすぐにエサによってくるカエルで且つトリニドショウジョウバエを使う場合に限り、GEXの「グラステラリウム」や一般的なプラケースでもOKです。
ハエが散る前にすぐにパクパク食べに来るので、逃げることがあまり無いからです。(一度のエサ量は要調節)
床材
床材は「ソイル」が使い勝手が良くオススメです。
粒が崩れにくく保水作用があり、フン尿を吸着・分解する力があるため、非常に使いやすいです。
ソイルをケージに敷いた後、霧吹きで軽く保水させて使用します。
ソイルは各メーカーから色々出ていますが何でも良いです。強いて言えば粒サイズが小さすぎるとエサと粒が一緒に口に入って嫌がるので、スーパーパウダー以外の粒サイズを選ぶのが良いでしょう。(画像のはJUNのプラチナソイル)
給水所
カエルの水場として「濡らした水苔」か、「水を張ったエサ皿」を用意します。
注意点として水を張る場合は毎日オシッコをしますので毎日取り替えて下さい。管理をサボると病原菌が湧いたり、尿を再吸収して病気になりますので管理できない場合は水苔にしましょう。
水苔の場合は、常に濡れた状態になるよう必要に応じて霧吹きを行って下さい。
ハエが逃げないケージを使っていればかなり保湿されるため、霧吹きすることはあまり無いのですが、普通のプラケースやグラステラリウムの場合は乾きやすいので高頻度の霧吹きになります。
保温器具
ヤドクガエルは熱帯に棲むカエルであるため冬場は23℃~27℃程度を目標に保温します。
ケージの横や下におくプラケース向けの「パネルヒーター」、ケージ上部におく上部メッシュケージ向けの「上部設置型ヒーター」、床暖やエアコンによる「室内ごと加温」いずれかで保温して下さい。
参考:パルダリウムケージでの飼育
ヤドクガエルはテラリウムおよび熱帯雨林を再現した「パルダリウム」で飼育する愛好家が多いです。
パルダリウム用のケージには「余分な水を排出できる排水口」「ハエ脱走防止と通気性を確保したフロント・天板のメッシュ」「自動散水機用の天井穴」などヤドクガエルに適した機能があります。
興味があればそれを利用してヤドクガエル用のパルダリウムを作ってみましょう。
エサ
ヤドクガエルは小さな虫をせっせと食べる食性であり、このことからエサ虫は非常に小さなものを与える必要があります。主にヤドクガエルに与えられているエサは以下の3種です。
- キイロショウジョウバエ
- トリニドショウジョウバエ
- ヨーロッパイエコオロギの1令~2令
ショウジョウバエがランニングコストが低く、管理も簡単なので、多くの愛好家はショウジョウバエをベースに給餌しています。
オオファガ属・ラニトメヤ属などの小型ヤドクガエルであれば「キイロショウジョウバエ」が良いでしょう。
デンドロバテス属・フィロバテス属などの中~大型のヤドクガエルであればサイズが大きい「トリニドショウジョウバエ」が適します。
種類 | 適したヤドクガエル | 概要 |
---|---|---|
キイロ ショウジョウバエ |
小型~中型のヤドク(Oophaga,Ranitomeya,小型のDendrobatesなど) 中~大型ヤドクの子ガエル |
非常に増やしやすく培養の失敗はまずない |
トリニド ショウジョウバエ |
中~大型のヤドク(Dendrobates,Phyllobatesなど) | キイロよりデカい。 |
イエコの1令~2令(ピンヘッド) | 小型種は1令まで 中型~大型種は2~3令も食う |
入手が難しくランニングコストも高くなるが、ショウジョウバエと比べて非常に栄養が高い。抱卵を促進させたり、食の細くなったうつ病気味の個体および初期ケアに有効。 |
ハエの培養方法については以下の記事にて解説しています。
エサの与え方
ヤドクガエルは白い虫に対する嗜好性がありますので、カルシウムパウダーを虫にまぶしてから与えます。(もちろんカルシウム不足を補う役割もあります)
物怖じしないシャイ度の低いカエルであれば、エサを投入すればすぐに寄ってきます。
臆病なカエルは各地に散った虫を恐る恐る食べますので、観察する場合は動かずに気長に待つことが必要です。
エサの頻度
アダルト個体の場合、小型のヤドクガエルであれば1日1~2回、中~大型サイズのヤドクガエルであれば1日1回を目安に与えます。
基本的には小さな虫を食べ続けるタイプのカエルになりますので、数日に1回ドバァっと与えるのではなく少数を分けて与える方が好ましいです。
特にベビー~ヤング個体は1日複数回与えないと痩せてくることもありますので、そのような個体を入手した場合は1日に何度も与えてできるだけ食わせるようにして下さい。
飼育のポイント
一度にエサを与えすぎない
全てのカエルがそうですがエサ虫の量が多くて体にまとわりつくと、エサにビビッて食べなくなってしまいます。
特に小さなプラケースで飼育する場合は逃げ場がありませんので、1回で食べきる量に抑えることを厳守して下さい。
痩せや繁殖などで給餌量を量を増やしたい場合は、1日にあげる回数自体を増やすのがコツです。
ベビ~ヤングは手をださない
ヤドクガエルはベビ~ヤングまでは簡単にうつ病になりやすいのでこの点は注意して下さい。
ヤングサイズ以下は購入してケージに移しエサ虫を恐る恐るパクつくものの、うまく食えず吐き戻してしまったらうつ病の始まりです。一度うつ病になってしまったら復帰は非常に困難で、あとは段々と細くなっていって死ぬだけになります。
そのため購入時は、セミアダルト~アダルトサイズで長期キープ(2ヶ月)されている個体を選ぶこと。
「安い小さいのから始めてみようかな・・・?」といってヤング個体に飛びつくと普通にうつ病でエサ食わなくなって死ぬので、高かろうがアダルトで長期キープされてる個体が強くオススメです。(安くないことでずっと店にいる個体の方が、成功率考えると実は圧倒的にお得なのがヤドクガエル)
よくある質問
ヤドクガエルは難しいですか?
長期キープのセミアダルト以上のサイズであれば、エサさえクリアすれば一般的なカエルより簡単です。
ヤドクガエルは小さい虫をパクパク食べるので、割と毎日ショウジョウバエ・もしくは小さなコオロギを用意しなくてはいけないのが一番難しいポイントですね。
トカゲや大きなカエルであればホームセンターで簡単にコオロギが買えますが、ヤドクガエルはそうはいかないのでショウジョウバエを管理することが飼育の肝になります。(でかいアイゾメヤドクガエルなどは除く)
あとツリーフロッグ(アマガエルとかイエアメガエル)は、清潔な環境を維持し続けないと病気になって死ぬのですが、ヤドクガエルは病気耐性がかなり強く「ソイル+プラケース+草」という簡素な環境でも終生飼育が可能なので、エサさえクリアできれば飼育が簡単なカエルです。(個人的にはイエアメガエルより簡単だと感じています)
あと先述しましたがベビ~ヤングは非常にうつ病になりやすいので、一部のマニアを除き必ず避けて下さい。
旅行に行きたいのですが絶食は無理そうですか?
種類にもよりますが中型~大型のヤドクガエルであれば数日程度のエサ抜きは余裕で耐えます。
ヤドクガエルは基本的に毎日小さな虫をせっせと食べる食性から、絶食耐性はあんまり無いカエルです。
とはいえ中型~大型のヤドクガエル(例えばアイゾメヤドクガエル、キオビヤドクガエル)でアダルト個体であれば、日頃からしっかりエサを食べさせることを前提とし、一週間程度なら絶食に耐えてくれます。よって数日程度の旅行であれば特に問題ありません。
小型のヤドクガエルであるラニトメヤ属も数日程度であれば耐えてくれますが、一週間程度の絶食に耐えてくれるかは疑問です。
なので旅行を考えているのであれば中~大型のヤドクガエルを選択するのがオススメです。
ただし中~大型のヤドクガエルであっても、成長途中の子ガエル~ヤングまでの個体は絶食耐性がありませんので、絶食させないようにして下さい。
シェアしてね!
この記事へのコメント